NISAを始めたけど、これで本当に変わるのか

NISAをやめた方がいいのか

NISAを始めた。毎月積み立てる設定もした。

でも、「変わった」という感覚がない。資産が少しずつ増えているのは分かる。でも、今の生活も、毎月の手元のお金も、何も変わっていない。「これで本当に変わるのか」という疑問が頭に残っている。NISAをやめた方がいいのかと感じている人もいるかもしれません。

そう感じている人に向けて、この記事を書いています。

結論から言うと、NISAは間違っていません。ただ、NISAだけで「変わる」ことには、構造的な限界があります。その理由と、NISAをどう位置づけるべきかを整理します。

NISAで変わること、変わらないこと

NISAによって変わることは確かにあります。

運用益が非課税になる。長期で積み立てることで、複利の効果が得られる。何もしないよりは確実に資産が育っていく。これらはNISAの本来の効果であり、正しく機能しています。

ただ、NISAでは変わらないことがあります。

それは「今の収入の構造」です。

NISAで積み立てる原資は、会社員の給料から出ています。月に3万円積み立てても、手元に残るお金は3万円減ります。今の生活の手触りは変わりません。そして、積み立てた資産が「変わった」と実感できるレベルになるまでには、数十年単位の時間がかかります。NISAをやめようかと考えるのは、この感覚から来ていることが多いです。

「変わらない」と感じる理由は、期待とのギャップにある

NISAを始めるとき、多くの人は「これで将来が変わる」という期待を持ちます。

その期待は間違っていませんが、NISAが効果を発揮するのは「長期・積立・分散」という時間のかかる方法によってです。始めた翌月に生活が変わるものではありません。

この「期待と現実のギャップ」が「変わらない」という感覚を生んでいます。

NISAを始めて変わった気がしないのは、NISAが機能していないからではありません。期待していたことと、実際にやっていることがずれているだけです。

NISAの本当の役割を整理する

NISAは「資産を長期で育てるための器」です。

非課税という税制上のメリットを活かして、時間をかけて資産を増やしていく。これがNISAの本来の役割です。老後の資金形成という観点では、非常に有効な手段です。

ただ、NISAは「今の収入の構造を変えるもの」ではありません。

今の手元のお金を増やしたい、収入の柱を増やしたい、会社の給料への依存を減らしたい。そういう変化を求めているなら、NISAとは別のアプローチが必要です。

NISAだけで生活は変わるのか、数字で確認する

「NISAで資産が増えれば、いつか生活が変わる」と感じている人は多いです。では実際に、どれくらいの資産があれば生活に変化が生まれるのか。数字で確認してみます。

新NISAの年間投資枠は最大360万円、生涯上限は1800万円です。毎年360万円を満額積み立てた場合、生涯上限に達するまで5年かかります。

仮に1800万円を年利5%で運用できたとすると、年間の運用益は90万円です。月に換算すると7万5000円になります。

この数字をどう見るかは人によって違います。ただ、現実的に考えると2つの問題があります。

① 年間360万円を5年間積み立てられる会社員がどれだけいるか

月30万円を投資に回し続けることは、多くの会社員にとって現実的ではありません。実際には年間60〜120万円程度の積み立てになるケースが多く、その場合は生涯上限に達するまで15〜30年かかります。

② 月7万5000円では収入の構造は変わらない

仮に上限まで積み立てて月7万5000円の運用益が出たとしても、それは「給料以外の収入が少し増えた」という状態です。会社の給料への依存度は変わらず、「何かあっても大丈夫」という感覚にはなりにくいです。

NISAは資産を育てる仕組みとして正しく機能します。ただし「収入の構造を変える」という目的には、NISAだけでは届かない。これが数字で見えてくることです。

40代からNISAだけに頼ることのリスク

30〜40代でNISAを始めた場合、老後までの期間は20〜30年あります。長期投資としては十分な時間ですが、その間に想定外のことが起きる可能性もあります。

景気の後退、リストラ、病気、家族の事情。収入の柱が会社の給料一本の状態では、こうした出来事が起きたとき、積立を続けられなくなるリスクがあります。積立を止めれば、NISAの効果も止まります。

NISAを長期で機能させるためにも、会社の給料以外の収入の柱を持つことが、実は重要な土台になります。

会社の給料以外の収入源をどう作るかという発想の転換については、こちらで解説しています。

▶ 金持ち父さんが言う「お金に働かせる」とは具体的にどういうことか

金持ち父さんが言う「お金に働かせる」とは具体的にどういうことか
『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで、「お金のために働くのではなく、お金を自分のために働かせる」という言葉が印象に残った人は多いと思います。読んだときは「そうか」と腑に落ちた。でも、本を閉じると「で、自分は具体的に何をすればいいのか」が分から…

NISAを「やめた」のではなく「位置づけを変える」

「NISAだけでは変わらない」という話をすると、「じゃあNISAをやめた方がいいのか」と感じる人もいるかもしれません。

そうではありません。

NISAは続けていい。ただ、NISAの役割を「老後の資産形成の一つ」として正しく位置づけた上で、今の収入の構造を変えるための別のアプローチを並行して考える。この両輪で動くことが必要です。

NISAだけに変化を期待するのをやめて、NISAを「長期の資産形成のための器」として使いながら、収入の柱を増やすことを別軸で考える。この視点の転換が、「変わらない」から抜け出す入口になります。

収入の柱を増やすという考え方については、こちらで解説しています。

▶ 副業だけでは危険?収入の柱を増やす重要性と具体的な考え方

副業だけでは危険?収入の柱を増やす重要性と具体的な考え方
副業を始めて、少しずつ収入が出るようになった。でも、「これを続けていれば大丈夫」という感覚があまりピンとこない。そう感じていませんか?その感覚は正しいです。副業で収入を作ること自体は良い一歩ですが、副業だけでは根本的な解決にならないケースが…

まとめ

NISAを始めたのに変わらないと感じるのは、NISAが間違っているわけでも、あなたの使い方が悪いわけでもありませんでした。

  • NISAは「資産を長期で育てる器」であり、今の収入の構造を変えるものではない
  • 「変わらない」という感覚は、NISAへの期待と実際の役割のギャップから来ている
  • NISAは続けながら、収入の柱を増やすアプローチを別軸で考えることが必要

NISAをやめるのではなく、NISAの役割を正しく位置づけ直すことが、次の一手を考えるための出発点になります。

コメント